知って欲しい日本人|福岡の環寿堂からだの郷鍼灸院ブログ
安心してください!治しますよ!
とは言えない小野です。結核に感染したら必ず大きな病院に行ってくださいね。
さて、今日はちょっと真面目な話です。
先日、出張先の病院で結核についての勉強会がありました。
皆さんは結核と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
江戸時代や明治時代を描いたテレビ番組で、血を吐いて倒れる人、隔離されて孤独に一生を終える人、そんなところでしょうか?
しかし、今の日本で、そのような光景を見ることがあるでしょうか?実際に結核に感染している患者さんですら、投薬で状態をコントロールできています。街角で吐血して倒れる人はいません。
日本人にとって結核は、すでに過去の話であり治る病気と認識されています。
『結核=治る病気』
今日の記事を読んでいただくと、その常識は覆されるでしょう。私自身、この出会いがなければ知らずに一生を終えていたと思います。
今日はその出来事と、東洋医学の知恵を活用して結核と戦う日本人女性について書かせていただこうと思います。少し長いですが、お付き合いください。もし、記事を読んで感じるものがありましたら、拡散していただけると僕も嬉しいです。
結核と戦う日本人。これは、決して闘病している人の話ではありません。
女性の名前は伊田屋幸子さん。普段通り、ユキさんと書かせていただきます。
アメリカで鍼灸師として活躍されている方です。
ユキさんとの出会いはいつだったか…最初はM-Testの研修でお会いしました。
女性でありながらものすごいバイタリティの持ち主で、M-Testを学ぶためにアメリカの鍼灸師さんの一団をひきつれてやってきました。
明るく朗らか、優しく勉強熱心で技術、夢、チャレンジ精神、全てが尊敬でき、純粋に人として憧れてしまう魅力を持っている、そんな印象でした。
その後、しばらくはアメリカで活躍され、SNSなどでやりとりしながら近況を見守っていたのですが、2014年6月、日本に帰国されるとのことで、会いに行ったのです。
その時、初めてユキさんの活動を知りました。
会いに行った先はmoxafrica(モグサアフリカ)のイベント。ユキさんはその理事をされており、日本、イギリス、アメリカで講演活動を行っている。来日はその一環で、実は何箇所かで講演後はすぐに帰国しなければいけない、もっともっと、moxafricaの活動を広めたい!ユキさんの目はキラキラしていました。
moxafricaの活動、最初は『へぇ〜…』ぐらいで聞いていた私がどんどん話に引き込まれていきました。
簡単に紹介します。
アフリカでは、未だに結核は重篤な疾患です。
日本人の死因Top3は悪性新生物(がん)、脳血管障害、心疾患ですが、アフリカ人の死因はほとんどがHIVです。
そして結核。
しかし、HIVに感染した人は他のどんな病気で亡くなったとしても死因がHIVになります。実際に直接的に命を奪うのは、実は結核だったり、その他の感染症だったりします。
結核、我々日本人にとってピンとこない病気です。風邪の延長上、今は治る病気、そのようなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
しかし、その認識は間違いです。WHOの発表では、世界の人口の3分の1が結核に感染しているとされています。日本人でも、人口の15%は結核に感染しています。
人類を滅ぼすのは結核とも言われています。
結核は治る病気、先進国には関係ない、医学が遅れている発展途上国の話、なのになぜ、世界が結核によって滅ぼされるのでしょう?
これは、薬の耐性によるものです。
数年前、新型インフルエンザが猛威を振るいました。高い感染率、死亡率、さらにワクチンがなくタミフルが効かない。こんな話を連日、ニュースやテレビ番組で見ましたよね?
これはウイルスが変異し、ヒトの免疫が記憶したことのないウイルスが出現し、しかも、タミフルの投与でも死ななかったウイルスが増殖したためです。これは大いに警戒されました。
結核も同様です。
結核の治療は化学療法、つまり、投薬です。
結核に感染すると抗結核薬を処方されます。日本でも同様で、感染者には抗結核薬が処方され、排菌をしていると隔離入院、排菌が確認されなければ通院加療も可能です。
しかし、ここで抗結核薬が効かない菌が出てきたら、しかもそれが増殖して猛威を振るい始めたらどうなるでしょう?
飲んでいる薬が効かない=治療できない
これが薬剤耐性結核です。
薬が効かないので治りません。
ですが、人間側も抵抗します。今ある薬が効かないなら、新しい薬を作れば良いんです。
薬剤耐性結核ですら倒せる薬、これの開発に成功しました。
しかし当然、その薬すら効かない結核、多剤耐性結核が出現します。
人間側はお薬を高額、超強力にします。
結核は変異し、現在開発されているどの抗結核薬でも効果がない結核が生まれました。
これを超多剤耐性結核と呼びます。
この結核は、現在の人間の科学力では治療が不可能です。そして、この超多剤耐性結核を倒す薬が出てきても、またさらに結核は進化するでしょう。
現在、HIVと結核が流行している発展途上国では、HIVによる免疫力の低下、結核治療の中断、薬の多用による耐性菌の出現などで超多剤耐性結核が猛威をふるっています。
対岸の火事ではありません。日本でも、年間70例ほどですが、この超多剤耐性結核への感染が確認されています。
発展途上国の薬は全て、先進国から輸入されています。治療には、年間、日本円にして数百万のお金が必要になってきます。そのため、治療の完了前に断念する患者が後を絶たず、それも超多剤耐性結核の氾濫に一役買っています。
もはや、薬だけで結核に対処するには不可能です。
ここで、お灸治療の免疫力、自然治癒力の増大に目をつけ、立ち上がった団体がいました。ユキさんも所属するmoxafricaです。
お灸治療をすることが人間の免疫力をアップさせることが立証されています。
moxafricaはこのお灸を、発展途上国に持ち込むための活動を始めました。
最初はウガンダと南アフリカでのパイロットスタディ、その研究結果を持って今度はガボン共和国と活動の幅を広げています。
ユキさんたちの研究結果では、毎日お灸を、しかも患者自身にさせることで排菌期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮させることに成功、そして、薬の副作用などによる関節炎などの減少が確認されました。
結核の感染力を低下させ、生活の質を上げることに成功したのです。
日本でも超多剤耐性結核への感染が500人確認されています。近年、多剤耐性結核の報道が増えており、先進国でもその脅威にさらされる日もそう遠い未来ではなさそうです。
もぐさ、お灸が免疫力をアップさせるという発見は日本人、原志免太郎先生の発見であるとされています(最近話題のヒートショックプロテイン研究の先駆けであるとも言われています)。
その日本人の発見を、遠いアフリカの大地で普及させよう、そして現在、既に忍び寄ってきている超多剤耐性結核の脅威と戦っている日本人を応援して欲しいと思います。
moxafricaはまだまだ小さな団体です。そして、結核患者はその何万倍、何億倍もの人数です。持続的な支援が絶対的に必要です。
環寿堂からだの郷鍼灸院ではmoxafricaの活動を応援しています。これからも支援したいと思います。
ここまでこの記事を読まれた皆さん、そして皆さんのお友達やそのお友達にも支援の輪を広げていただきたい。
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少しでも興味を持たれた方は是非、リアクションをお願いします。
そして、ユキさんの講演、どうか聞いてみてください。
我々にもできること、きっとあるのではないでしょうか。